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映像四郎の百人斬り

映像四郎の百人斬り

「やはり、不死身」

 「地下鉄A子ちゃん」は、やはり、不死身だった。

 

 「地下鉄A子ちゃん」は、

 あの飲みが終わったあと、

 新宿駅の階段から転げ落ちて、

 「新宿で、死ぬっていいかも」

 うれしそうに喋っていた。

 お願いだから、新宿じゃなくて、

 地元で、死んでくれ。

 確かに、マイナーな駅より

 新宿の方が、カッコはつくが、

 階段落ちして、死なれたんじゃ

 やはり、後味が、悪すぎる。

 だから、山手線のホームの階段の上まで、送った。

 地下鉄の飛び込みと、JRでは、

 賠償金額が、一桁ちがってくるのではないか。

 今日は、ご機嫌な電話が掛かってきたので、

 聞いてみると、ひと駅のり過ごしただけで、

 無事に帰れたようだ。

 ただ、車に飛び込もうとしたことは、

 忘れていたし、

 私に電話でお話させてくれるといって、

 仲良しの「お水」の友達にかけた電話が切られると、

 幼稚園ガキのように泣き出したことなども、

 憶えていないそうだ。

 その泣き方が、どう考えても、大人のものではなく、

 幼稚園の年小から年中くらいの泣き方で、

 「仲良し感覚」が遠のくときの切なさを、

 あまりに、ストレートに表現しているので、

 私の「現実に対する遠近感」も、

 徐々に揺らいでしまうのだった。

 それも、やっぱり、憶えてないという。

 奇矯な行動に出てるときは、

 基本的に、別な回路が作動しているらしい。

 「地下鉄A子ちゃん」は、現在、

 現代医学に匙を投げられ、

 民間療法に移行している。

 「気」や「鍼」だそうだ。

 洗脳されんようにね、というと、

 洗脳されても、治るならいいよ、とのたまう。

 今回も、やってもらったら、

 脊髄の悪いところが、足の裏の対応しているところに出て、

 ぷっくり膨れ上がったそうだ。

 それを、マッサージで、ガンガンに散らした

 効き目はあるらしい。

 「すごいよー」

 ふわふわと、嬉しそうだ。

 今日もリタちゃんを、きめてるんだろう。

 「地下鉄A子ちゃん」なら、治っても、おかしくない。

 そんな気がする。





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